体脂肪率は人間の体の健康維持に重要で、体のメンテナンスを考えるために必要な数値です。今回は体脂肪率の必要性と正しい測定方法、体脂肪率を減らす方法を解説します。
体脂肪率とは
体脂肪率とは体重に占める体脂肪(体内に蓄積している脂肪)の比率であり、パーセント(%)で表示されます。ダイエットや健康状態の把握などで注目される指標で、測定器があれば医療機関や一般家庭でも測定可能です。
体脂肪率が元々高い状態から減少すると、生活習慣病のリスクが下がって健康維持につながったり、お腹などの見た目がすっきりしたりするメリットがあります。筋肉の割合も上がり、基礎代謝が向上して痩せやすい体につながるのも利点です。
脂肪吸引で体脂肪は落ちる?
脂肪吸引は見た目を美しく整えて、痩身につなげられるメリットがありますが、体脂肪率は大幅に落ちません。体脂肪率の変化は主に内臓脂肪の量に関連するため、皮下脂肪を吸引する脂肪吸引では大きな変化が見込めないのが特徴です。
体脂肪率を大幅に落としたい場合は、脂肪吸引以外の手段で取り組むほうが効果的でしょう。ただし、体脂肪率の落としすぎは、免疫力が低下したりホルモンバランスが乱れたりするなど、体の健康状態に影響する可能性があるため注意が必要です。
体脂肪率の正しい測定方法
体脂肪率の正しい測定方法は、以下の4つです。
体組成計(生体インピーダンス法)
キャリパー法
水中体重測定法
空気置換法
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.体組成計(生体インピーダンス法)
体組成計は微弱な電流を体内に流し、電気抵抗(インピーダンス)を測定して、体脂肪の割合を計算する方法です。電解質を多く含む筋肉や骨などの組織は電気が通りやすいですが、体脂肪はほとんど電気を通さない性質を利用して計算します。
体組成計は専用の機器を使用して自宅でも測定可能ですが、体の水分量によって体脂肪率の測定値が変動しやすいことが欠点です。測定するときは、できるだけ同じ時間で測定すること、測定前の入浴や飲食、運動などを控えることが大切です。
2.キャリパー法
キャリパー法は、皮下脂肪を「キャリパー」と呼ばれる器具でつまみ、つまんだ厚みの値を使用して体脂肪率を計算する方法です。
キャリパーがあればいつでも測定ができますが、測定者によって厚みの誤差が生じるため、おおよその結果になる可能性があります。
3.水中体重測定法
水中体重測定法では、水中と陸上で体重を測り、それぞれの体重の差で体の密度を計算して、体脂肪率を推定する方法で、「水中体重秤量法」とも呼ばれます。正確な体脂肪率を測定しやすい方法ですが、特定の研究機関にしかなく、コストも高いため、一般的な使用は難しいとされています。
4.空気置換法
空気置換法は専用の密閉カプセルに入り、カプセル内の空気に圧力をかけたときの、圧力の差から体脂肪率を計算する方法です。空気置換法も、体脂肪率を正確に測定しやすい方法ですが、特定の研究機関でしか利用できません。
体脂肪率の年齢・性別・職業の関係
体脂肪率は、年齢や性別、職業などとも深く関係しています。これらが体脂肪率とどのように関わってくるのか見ていきましょう。
年齢や性別による適正値
体脂肪率は年齢や性別によって、適正値が異なります。人は加齢によって基礎代謝が減少するほか、男性のほうが女性より筋肉量が多いからです。年齢や性別による体脂肪率の適正値は以下になります。
【男性】
年齢/肥満度 | やせ | - 標準 | + 標準 | 軽肥満 | 肥満 |
18~ 39歳 | ~10% | 11~ 16% | 17~ 21% | 22~ 26% | 27%~ |
40~ 59歳 | ~11% | 12~ 17% | 18~ 22% | 23~ 27% | 28%~ |
60歳~ | ~13% | 14~ 19% | 20~ 24% | 25~ 29% | 30%~ |
【女性】
年齢/肥満度 | やせ | - 標準 | + 標準 | 軽肥満 | 肥満 |
18~ 39歳 | ~20% | 21~ 27% | 28~ 34% | 35~ 39% | 40%~ |
40~ 59歳 | ~21% | 22~ 28% | 29~ 35% | 36~ 40% | 41%~ |
60歳~ | ~22% | 23~ 29% | 30~ 36% | 37~ 41% | 42%~ |
一般的に、男性は女性よりも体脂肪率が低く、年齢が上がるにつれて適正値も上昇します。
職業別による違い
体脂肪率は職業によっても異なります。体を動かすことが多いアスリートやスポーツインストラクターなどの職業は、筋力トレーニングや有酸素運動によって、基礎代謝量が高くなるため、体脂肪率が低くなりやすいです。一方で、デスクワークが中心になる会社員や事務員などの職業は、運動量が減少し、基礎代謝量が低下することで体脂肪率が増加しやすくなります。
体脂肪率に影響する要因
体脂肪率は生活習慣やホルモンバランスなども影響します。それぞれについて詳しく解説します。
生活習慣
不規則な生活習慣は、体脂肪率を上昇させる大きな要因です。食事が不規則だったり、運動不足や睡眠不足が続いたりすると、体はエネルギーを効率的に消費できず、脂肪を蓄積しやすくなります。その結果、体脂肪率が増加し「肥満」に近づくこともあります。
改善のためには、バランスの良い食事を心がけることや、適度な運動を取り入れることが重要です。また、十分な睡眠時間を確保することで代謝機能が整い、体脂肪率のコントロールに役立ちます。
ホルモンバランスや体質
ホルモンバランスや個々の体質も体脂肪率に影響します。特に女性の場合、女性ホルモンの影響で体つきが変化しやすく、排卵後から月経開始まで分泌される黄体ホルモンによって水分を溜め込みやすくなることがあります。この時期には自律神経の乱れから暴飲暴食をしてしまう人も少なくありません。
また、男性・女性ともに「痩せやすい体質」や「痩せにくい体質」が存在し、それが個々の体脂肪率にも影響します。これらは遺伝的要素も関係しているため、自分の体質を理解した上で適切な対策を取ることが大切です。
体脂肪率を減らす方法
体脂肪率を効率的に減らす方法として、以下の3つが挙げられます。
マグマトリートメント
ダイエットピル
漢方薬
それぞれの方法と効果についてご紹介します。
マグマトリートメント
マグマトリートメントは、人肌の温度に温められた溶岩プレートの上で、専門のパーソナルトレーナーがダイエットに効果的なメニューを指導するプログラムです。遠赤外線によって新陳代謝を高めながら、ストレッチや有酸素運動、筋力トレーニングなどをおこないます。
効果
マグマトリートメントは、富士山の溶岩プレートの熱が体を深部から温めてくれるため、体脂肪率の減少を促す効果があります。全身の血行が良くなることで基礎代謝も上がり、太りにくい体作りにも期待できます。また、溶岩プレートから発せられる蒸気は、上質なミネラル成分を含んでいるため、心をリラックスさせる効果や、肌の保水力アップ効果が期待できるのも特徴です。
料金
マグマトリートメントの施術料金は、1回(90分)33,000円(税込)で、モニター価格は11,000円(税込)です。
ダイエットピル
当院のダイエット外来が処方するダイエットピルでは、食欲抑制薬の「サノレックス」と脂肪の吸収を抑える薬「ゼニカル」があります。
サノレックスは体の新陳代謝を向上させる作用があるため、有酸素運動と組み合わせると、効率良く体脂肪の燃焼が可能になります。ゼニカルは、脂肪の分解作用を抑えて体内への脂肪吸収を防ぐ効果が期待できるため、食事の際のカロリーカットが可能です。
ただし、妊娠中の方、授乳中の方、うつ病の既往がある方、慢性吸収不良症候群の方などは、処方ができない場合があります。詳しくは医師に直接ご相談ください。
効果
サノレックスの効果は、マジンドールという主成分が摂食中枢に作用して食欲を減少させることです。ゼニカルは食前に摂取することで、主成分であるオーリスタットが脂肪分解酵素に働き、脂肪分の吸収を抑える効果があります。
しかし、効率的に体脂肪率を減らすためには、内服薬を服用するだけでなく、日々の運動や食事改善などにも取り組むことが大切です。当院では内服薬の処方のほかに、食事や運動などの指導も個別で実施していますので、お気軽にご相談ください。
料金
食欲抑制薬(サノレックス)処方は14日分(14錠)で22,000円(税込)、ゼニカル処方・28日分(84錠)で30,800円(税込)です。
漢方薬
漢方薬とは、薬効作用を持つ植物や木の実などから作られた生薬を組み合わせた薬です。各症状に対して、効能を持つ生薬が使用されます。当院のダイエット外来では、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、大柴胡湯(だいさいことう)、五苓散(ごれいさん)を処方しています。
効果
当院が処方している漢方薬と効果は、以下のとおりです。
漢方名 | 効果 |
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) | ・高血圧を予防する ・新陳代謝を促進させる ・皮下脂肪や内臓脂肪が低減する など |
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) | ・消化吸収を助けて余分な水分を排出させる ・水太りやむくみが改善する など |
大柴胡湯(だいさいことう) | ・脂質代謝のサイクルを正常にさせる ・肥満による便秘や肩こり、頭痛の改善が期待できる など |
五苓散(ごれいさん) | ・体内の水分循環を整える ・水太りやむくみを改善させる ・頭痛やめまいを回復させる など |
料金
各漢方薬の料金は、以下のとおりです。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)42包/3,233円(税込)
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)42包/3,730円(税込)
大柴胡湯(だいさいことう)42包/8,616円(税込)
五苓散(ごれいさん)42包/5,310円(税込)
ドクターが体脂肪率の必要性と減らす方法とは?についてのお悩みにお答えします
脂肪吸引の痛みはどのくらい続きますか?
個人の体重や体脂肪率などによって異なりますが、仮に体重50kgで体脂肪率25%の人の体脂肪率が1%落ちた場合、体重は脂肪量と筋肉量含めて0.5〜0.9kgほど減ります。
体脂肪率を下げる食事は何ですか?
体脂肪率を下げるのに効果的な食事には、高たんぱく質で低脂肪の食材を中心に取り入れることが重要です。 低カロリーで高たんぱく質な鶏むね肉や、L-カルニチンが豊富で脂肪燃焼を促進する赤みの牛肉を選ぶと良いでしょう。青魚に含まれるEPAとDHAも体脂肪の燃焼に効果的です。そのほか、雑穀や玄米は食物繊維が豊富で腹持ちが良いため、過食を防ぐ効果があります。 これらの食材をバランス良く取り入れながら日々体を動かすことで、効率的に体脂肪率を下げることができます。
痩せ型なのに体脂肪率が高いのはなぜですか?
痩せ型でも体脂肪率が高くなる主な理由として、運動不足によって筋肉量が低下している結果、体内の体脂肪の割合が高くなっている可能性が挙げられます。これは、不規則な食生活で体が脂肪を蓄積しやすい状態に陥っていることも原因の一つです。さらに、見た目は痩せていても内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の状態にある可能性もあります。 これらの問題に対処するためには、ウォーキングや階段の上り下りなどの有酸素運動を日常生活で取り入れ、規則正しい食生活を心がけることが重要です。さらに筋力トレーニングによって筋肉量を増やすことで、基礎代謝を上げ、体脂肪率を健康的な範囲に保つことができます。